本学の客員教授であられたピーター・グリュンベルグ博士のノーベル物理学賞受賞を記念し、2008年5月27日、東北大学名誉博士号授与式ならびにノーベル賞受賞記念講演会が片平さくらホール(東北大学片平キャンパス)にて開催されました。
グリュンベルグ博士は、1998年に本学の客員教授として、金属材料研究所に半年間滞在され、以後しばしば本学を訪れ、研究・教育にご尽力され、本学の発展に多大なる貢献をされた先生です。
ピーター・グリュンベルグ先生は1966年にドイツ・ダルムシュタット工科大学で博士号を取得され、その後カナダ・カールトン大学ポストドクトラルフェローを経て、1972年にドイツ・ユーリヒ研究センターの研究員となられました。以来、固体中のスピン波の研究に従事され、その発展として1986年にFeとCrがナノスケールで積層した超構造においてCr層を介したFe層間の磁化の反強磁性交換結合を発見されました。そして、隣り合うFe層の磁化の相対配置が電気伝導に影響を及ぼすことを着想され、1988年、実際に大きな電気抵抗変化を見出し、発表されました。これが巨大磁気抵抗効果、いわゆるGMRと呼ばれる現象です。GMRは、発見から10年を経ずしてコンピュータのハードディスクとして実用化され、記録密度の飛躍的向上をもたらすことにより高度情報化社会の発展に貢献し、ナノテクノロジーの最初の大きな実用例となりました。同時に、GMRの発見は、磁気と伝導の研究に革命的な変化をもたらし、スピンエレクトロニクスという新たな分野を創成しました。
グリュンベルグ先生は、このようなご業績により、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)磁性学賞、ドイツ連邦大統領ドイツ科学賞、日本国際賞など数多くの賞を受賞され、昨年(2007年)にはノーベル物理学賞に輝きました。
当日は井上明久東北大学総長により博士のご功績が紹介された後、約160名の参加者の前で名誉博士号授与式が執り行われました。その後、約一時間にわたってグリュンベルグ先生から貴重なご講演を頂きました。
引き続いて、金属材料研究所の前川禎通教授、高梨弘毅教授より最近のトピックスのご紹介がありました。
| 演 題: |
「 Spin Waves to Giant Magnetoresistance (GMR) and Beyond 」 |
講演内容:
(概要) |
ブリルアン散乱という層間磁気結合の測定手法についての紹介、
そしてご自身が発見され、ノーベル賞受賞の対象に
なった、反強磁性的な層間磁気結合と巨大磁気抵抗効果について歴史的
な経緯を含めて解説された。続いて、巨大磁気抵抗効果から発展した、
その後の関連研究や、巨大磁気抵抗効果の応用、具体的には高感度磁気
ヘッドについてお話しされた。最後に、将来の巨大磁気抵抗効果の応用
についてのグリュンベルグ先生のお考えが述べられた。 |
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